2025/06/11
みなさんこんにちは!今から音楽を始めたい超・初心者のための新宿バンドサークル「おとかぞく」です。
今回はライブ当日にライブハウスで行うリハーサルについて、目的や進め方、注意点などを詳しく解説させていただきます。
ライブハウスでの当日リハーサルを「本番前の最後の練習」だと誤解している方も多いようですので、これから初ライブを予定している方は事前にご参照ください。
1.音響チェック
本番前のライブハウスでのリハーサルのことを通称「ハコリハ」と呼び、主な目的は音響チェックです。
ライブのステージでは「外音(そとおと)」と「中音(なかおと)」というものがあり、外音はお客様に向かったスピーカーから出る音、中音はバンドメンバー側に向かって出る音のことを指します。
ハコリハでは基本的にはこの中音を中心にチェックし、自分達が演奏しやすい環境を整えます。
ドラムから順番に各パートの音を出す
ステージ上でのメンバーのセッティングが終わると、PAさんの方からメンバーへ「まずはドラムのキックからください。次にスネア、次にドラムセット全体で・・・」などと指示をいただけます。ドラムのパーツごとに音を準備してくれているので、指示通りに順序良く叩いていきます。
次にベースの人お願いします、次にギターの人・・・という感じで順に指示されますので、「宜しくお願いします」と礼儀正しく挨拶をしながら、言われた通りに音を出しましょう。
ライブハウスやPAの担当者によってもやり方の特徴はあるので、自分のやり方を押し付けず、その都度指示に従うとスムーズに進みます。
各パートの音出し後には必ず「ありがとうございます。よろしくお願いします。」とお礼を言いましょう。
メンバー全員で曲を合わせてみる
各パートの音の確認が終わったら、次はバンド全体で曲などを演奏し、全体のバランスを見てもらいます。この時PAさんが確認してくれているのは、お客様が聞く「外音」です。
ドラムがうるさすぎないか?ギターの音はちゃんと聞こえているか?ボーカルとコーラスのバランスはどうか?など細かく聞いてくれますので、外音に関してはある程度PAさんに任せて良いでしょう。
なぜなら、ライブハウスの形や広さ、壁の材質などによって音響のクセがあるため、PAさんはそのハコの特徴を熟知しています。バンドとして出したい音があるのは分かりますが、あまりに主張ばかりするとそのハコの特徴に合わない音になってしまう危険性があるため、PAさんとやり取りをしながら徐々に進めていくことが大事です。
この時、1曲まるまる演奏するのではなく、ワンコーラスくらいにしておくと良いでしょう。音の確認をするために1曲まるまる演奏する必要は全くないので、ギターソロやコーラスがある個所などを事前に確認しておき、リハーサルではどの部分をやるのか決めておきましょう。
この時すでにPAさんには曲順を書いたセットリスト表を渡してあるはずなので、
・1曲目をワンコーラスだけやります!
・3曲目の間奏~ラスサビにかけてやるので、ギターソロの音量の確認をお願いします!
・最後の曲の終わり方だけ確認させてください!
のように伝えるとPAさんが理解しやすくなります。
PAさんに細かい注文をする
最後は中音チェックです。各メンバーの目の前にはそれぞれ専用の返しモニターが設置されているので、ボーカルの人はそのモニターから返ってくる音を調整して、自分が歌いやすい状況にしていきます。
例:
・ボーカルです!センターのモニターにギターを多めに返してください。
・ドラムです!ベースの音をもう少し返していただけますでしょうか?
・ベースです!ドラムのキックのみ大きめに返してもらって、ギターは少し下げてください
このようにPAさんに注文をし、自分が演奏しやすいよう環境を整えるのがリハーサルの主な目的です。
2.照明チェック
バンドによっては照明を細かく注文する場合もあります。
「ここではボーカルにピンスポット」「この場面では全体をストロボで盛り上げてほしい」など、ライブハウスでのライブに慣れてくると色々な注文が生まれてくるものです。
この場合も照明スタッフさんに対して礼儀正しくお願いしましょう。
その他にも「この曲は赤いイメージで」「次の曲は青っぽい色味でお願いします」などの注文も可能です。
3.楽屋からステージへの動線
本番前に控えている楽屋からステージへの動線も必ず事前にチェックしておきましょう。
・上手※かみて(客席から見たステージの右側)から登場
・下手※しもて(客席から見たステージの左側)から登場
・プロレス入場※楽屋のないライブハウスなどでは客席を通ってステージに上がる場合もある
また、荷物などを置く楽屋とは別に、本番前にメンバーが控える別室や別スペースがあるハコなどもあります。
4.立ち位置の確認や細かい備品など
各メンバーの立ち位置はもちろんですが、それぞれの細かい備品をセッティングする場所も確認しておきましょう。
・ボーカル→ステージドリンク、汗を拭くタオル、必要な場合には歌詞など
・ギター→予備のピック、カポ、スライドバーなど
・ベース→ピック、途中で座る場合には椅子など
・ドラム→予備のスティック、メトロノーム、譜面台など
自分の楽器や音響ばかりに気を取られ、細かな備品の準備を忘れてしまったり、本番中に必要な場面ですぐに手に取れなかったりしないよう気を付けましょう。
5.ステージドリンク
ステージドリンクとは、ライブ中に水分補給をするための水や飲み物のことで、喉を使うボーカルや動きの激しいドラマーなどには特に重要なアイテムです。
ついついステージドリンクを持ってくるのを忘れて本番が始まってしまって真っ青になるような場面はしばしば起こり得ます。
ステージドリンクを持ち込むうえで重要な点としては、「蓋が閉まること」「絶対にこぼれない位置に置くこと」の2点です。
蓋のないコーヒーカップのようなものをアンプの上に置くなどは論外で、何かの拍子にこぼれてしまったら機材の損傷、感電、ライブの中止、多額の弁償などもあり得ます。
できるだけ蓋が閉まる状態のペットボトルを用意し、本番中に飲む際に蓋の開閉がめんどくさい場合には「ストローをつけられる蓋」を準備し、倒れてもこぼれないけどすぐにストローで飲めるのが理想です。
機材の上に置くことは論外ですが、かと言って足元に置いても蹴とばしてしまう危険がありますので、絶対に蹴とばさない位置に置き、さらに十分に注意し、万が一倒してしまってもこぼれない状態を作っておくことをお勧めします。
6.ライブの始まり方(SEのタイミング)
最後に、ライブの始まり方のきっかけをPAさんに伝えます。前のバンドの出番が終わってSEが流れ、あなたのバンドが準備を始めます。その際に何をきっかけにPAさんはSEのボリュームを落とすのか?または幕を開けるのか?などを確認しておくのです。
例:
・ドラムのカウントきっかけで1曲目が始まるので、カウントきっかけでSEを落としてください
・最初はボーカルのアカペラなので、SEが落ちたらボーカルが歌い始めるので、それと同時に幕を開け始めてください
・バンドらしくラフに登場したいので、幕が開いた状態でSEは流れたままで登場し、全員がスタンバイしたらドラムのカウントきっかけでSEを落としてください
このように、あなたのライブが始まるタイミングをしっかりと伝えておきましょう。
7.時間が余ったら最後の練習
あなたのバンドの持ち時間内でリハーサルが終了して時間が余った場合、残り時間はもちろん多少の練習をしてもOKです。
事前のリハーサルでどうしても合わせにくかった箇所、今回初めて披露する新曲、新しくアレンジを変えた箇所など、本番直前に現地で確認しておくとミスの確率が格段に減ります。
しかし、大前提としてハコリハは音響や照明のチェックのためにやっているので、スタッフさんの視点から見るといきなりバンドの練習が始まるとは想定していないため、念のため「余った時間で少しだけ練習してもよろしいでしょうか?」と確認しておくと良いでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回はライブ当日のハコリハについてご説明させていただきました。当日のハコリハは最後の練習ではなく、他の多くの目的のために行われていることをご理解いただければ幸いです。
今回ご紹介したのは飽くまでも基本的な流れであって、どこでも同じとは限りません。基本的な流れは押さえつつ、ライブハウスやスタッフさんごとのやり方に従うことを念頭に置いておきましょう。
さらに、ライブというのは多くの人が関係してくれて成立しています。確かに出演するのはあなたのバンドかも知れませんが、ライブハウスの店長さん、音響さん、照明さん、ドリンクカウンターのスタッフさん、対バンのメンバー、そのお客様、そしてもちろんあなたのバンドのお客様、さらにライブハウスが入っているビルのオーナーさんや、近隣のお店や住民の理解などがあって初めてあなたのライブが成立しています。
ライブ当日にはライブハウスのスタッフさんに挨拶をすることはもちろんですが、対バンのお客様にも挨拶やお礼を伝えたり、近隣のお店や住民に迷惑がかからないようライブハウス前で大騒ぎしない、近くのコンビニなどを利用する際には静かに礼儀正しく出入りをするなど、周りへの配慮が必要です。
最低限のルールやマナーを守ると誰にとっても楽しいライブとなりますし、ライブハウスの店長さんやたまたま見ていたレコード会社関係者の方などの目に留まった時に「礼儀正しくて感じのいいバンドだな」と思ってもらえれば、結果的にはあなたのバンドの人気や成功にも繋がります。